鳥取県の建設コンサルタント 第8回ハイ・サービス日本300選を受賞
製造業の「カイゼン」とプロジェクト管理手法CCPMを導入し、個々の作業を見える化することで、社内標準化に成功。さらに、組織を部門制からプロジェクト制へと移行させ、進捗状況に応じて適正なマンパワーリソースを投入配分し、作業効率と利益率の向上を実現した。

■事業内容と背景

サンイン技術コンサルタント(株) 代表取締役社長 大野木昭夫氏
サンイン技術コンサルタント(株) 
代表取締役社長 大野木昭夫氏

サンイン技術コンサルタントの主な事業内容は、道路・河川・橋梁等の測量・設計業務、および大気・水・地質等の調査、環境調査。建設コンサルタント業界では平成10年をピークに、公共事業費は年々減少し、平成19年度には約40%まで落ち込んでしまった。企業としては、民間市場への参入を試みたいが、現場は相変わらず忙しいため余力がなく、利益率は下がる一方だった。

■製造業の「カイゼン」導入とその効果

平成16年、利益率を上げるためにまず業務の効率化を進めようと、独立行政法人中小企業基盤整備機構に相談し、マツダの製造管理の専門家によるコンサルティングを受けた。担当者の裁量によって進められてきた個々の作業やバッファ日数(天候など不測の事象や作業の遅延を見越した予備日)を見える化し、工数(作業に要する人数×時間)を標準化した。その結果、一定の作業に要する手間および作業日数の算出が可能になり、目標の明確化・予算書の作成を徹底した。さらに、各スタッフの作業負担を把握するために、「負荷と余力の見える化表」を作成した。平成17年には専門家による指導が終了したが、社内に設置した委員会を中心にカイゼン活動を続けている。

■新たに見つかる課題

様々なカイゼン化が図られると共に、新たな課題が表れた。まず、原価内容の把握はできても、全体工程の進捗状況の把握・工程短縮・ムダの排除ができていない。つぎに、負荷と余力の見える化を図っていたが、Excelでの作成に手間がかかり日々変わっていく実施工程の更新が追いつかない。「手戻り」が多く、その結果、利益減少が起きていることが分かった。それらの根本的な問題は、部門間のコミュニケーション不足と思われた。

■CCPMの導入

技術勉強会
技術勉強会

同業の建設コンサルタント企業である五星がCCPMでコミュニケーションが活性化したと知り、導入を決意。導入を3段階に分け、効果を出していった。

第1段階として、工程作成・管理を『(1)みんなのベクトルを合わせる(ODSC)(2)作業の完了から開始へ考える(バックワードスケジューリング)(3)正味の作業日数で算出する(バッファ管理)』というやり方に変更した。さらに、IT化により、自動的にグラフでリソースの業務と負荷を見えるようにして、すべての業務の状況が一元管理できるようになった。

第2段階として、CCPMを活かせる人財を育成するために、『コーチング研修』と『ABC活動』を実施した。『コーチング研修』の目的は「人を育てる」こと。業務達成のために、メンバーが英知と汗を出し合い、一人ひとりが成長できるようなコミュニケーション能力を身に付けた。『ABC活動』の目的は「社風を育む」こと。内容は、A:あたりまえのことを、B:びっくりするくらい、C:ちゃんとやる。グループごとに日々の業務の中で、メンバー全員が基本的な動作や対応の改善を図った。

第3段階として、平成20年10月より、ピラミッド型の組織である『部門制』から『プロジェクト制』に変更した。『部門制』は、どうしても自部門を優先し他部門は後回しとなる傾向がある。一方、『プロジェクト制』にしてからは最適な時に最適な人力を投入できるようになった。いわば、組織全体の最適化ができるようになったのだ。

■効果を実感、そして受賞

製造業のカイゼンとCCPMを導入した結果、次の3つの効果が目覚しかった。
1、カイゼン導入後、粗利益率は設計部で7.7ポイント、測量部で7.2ポイント向上した。
2、部門間の壁をなくし、全員参加でプロジェクトを遂行することにより、モチベーションが向上した。
3、作業の標準化、組織のプロジェクト制への移行により、スタッフの単能工からの多能工化が実現した。

ハイ・サービス日本300選の授賞式の様子
ハイ・サービス日本300選の授賞式の様子

今回の取り組みを評価され、財団法人日本生産性本部(旧 財団法人社会経済生産性本部)サービス産業生産性協議会主催の第8回ハイ・サービス日本300選サービスプロセスの改善部門を受賞することとなった。

■今後の展望

代表取締役社長 大野木昭夫氏は語る。「サービス産業の生産性向上のポイントは、(1)仕事の標準化(2)仕事の見える化(3)社内コミュニケーション。そしてそれらを実現するためのキーワードが「ITの活用」である。」さらに今後の活動を伺ってみた。「カイゼン」とCCPMを導入することにより得られた効率化アップは、お客様満足の視点で、還元すべきと思っている。来年度(平成22年度)より、独自サービスとして、『ワンデーレスポンス+CCPM』を提案しはじめる。CCPM工程表をお客様と共有し、工期短縮のメリットを分かち合うことが目的だ。」

■プロジェクト管理 事例 PDFファイルのダウンロード

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Company Information  サンイン技術コンサルタント株式会社

鳥取県に5事業所を持つ準大手建設コンサルト企業。本業の建設コンサルティング、測量、設計を行う他、環境アセスメントとして風力発電など自然エネルギーの活用に力を入れている。
ISO14001取得企業

●所在地:鳥取県米子市昭和町25番地1 ●設立:1976年5月12日 ●資本金:2,000万円 
●従業員:93名(平成20年4月10日現在)  ●U R L:http://www.sanin-gc.co.jp/

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