■夢の超電導線材も開発

昭和電線ケーブルシステム株式会社様の環境に優しい電線

昭和電線ケーブルシステム株式会社(以下SWCCと略)は、大手電線メーカーの一角を占める連結売上1,600億超、従業員数約5,800名を抱える昭和電線ホールディングスの中核子会社である。 SWCCは超電導技術、熱電変換素子、無酸素銅製造など技術力に強みを持ち、早くから環境に優しい電線の開発にも取り組んでいる。 また、夢の技術として今後大いに期待される超電導分野では、液体窒素使用の超電導体で世界記録を2度樹立するなど、世界トップクラスの技術を誇る。

■開発テーマの遅れに手が打てない!

新製品開発は、技術開発センターが担う主要業務である。新製品をいち早く市場に投入するため、開発期間短縮の努力はこれまでも行なってきた。 しかし平均開発目標期間6ヶ月に対し、平均2ヶ月程度遅れてしまうことが常態化していた。「開発テーマの進捗が見えない、見えないので適切な手が打てない!」これは当時、常務取締役長谷川センター長が発していた言葉である。

■平均25%の開発期間短縮に成功

それが2010年度下期現在どうだろう。以前と比べて開発テーマ数や技術的難易度はほぼ変わらない中、常態化していた平均2ヶ月間の遅延がゼロ。つまり平均25%もの短縮に成功したのだ。 岡下マネージャーは、これまでの経験上「絶対に遅れる」と見られていた開発テーマも予定通りに終わるようになったことで成功への確信を得たという。 念のために付け加えると、外注の使用、残業時間の増加、他業務の削減などの措置は一切行なっていない。

■まず全開発テーマの現状把握に着手

事例紹介 昭和電線ケーブルシステム株式会社 技術開発センター様 左から岡下マネージャー、常務取締役 長谷川センター長、流杉現場リーダー、箕輪マネージャー

華々しい成果が一気に達成されたわけではない。 2008年下期、技術開発センターのリーダー以上の全スタッフに対しCCPMの教育を行ない、全体の状況を把握するためサーバー版を導入した。 さらに2009年度は、遅延原因の入力を徹底した。その結果、遅延原因とその影響で遅れた日数・件数が事実として把握でき、技術開発センターが直面する問題が浮き彫りになった。

■これは改善せざるを得ない!

分析結果を見た長谷川センター長は驚いた。遅延のトップ理由として『目標特性が得られない』が、半年間の累積で、なんと600日以上もあったことが報告されたからだ。「これまでも感覚として分かってはいたが、ここまで具体的に数字で見せられると、はやり改善せざるを得ない」これが長谷川センター長の率直な感想であった。 とはいえ、『目標特性が得られない』ことは、原材料を混ぜ合わせる工程があるR&D部門にとっては不可避の遅延理由と思われていた。また、これまでも実験計画法などの開発手法を積極的に取り入れている。 それでも、 2010年上期はこのR&D特有ともいえる遅延理由に対し、徹底的に検討を繰り返した。その結果、技術的要因は依然として存在するものの、スケジュール要因もかなり多く存在することが明らかになってきた。

■躊躇と決断

1.依頼試験(短期)と、開発テーマ(長期)で共通のリソースが使われ、目先の依頼作業が優先されがち 2.依頼試験を含め同時実行中の作業が多く、のべ作業待ち時間が長い 依頼試験は、納期が間近で発生を制御することが難しい。開発テーマと依頼試験の共通リソースで混雑が起きないためには、開発テーマの同時実行数を十分な数に減らさなければならない。開発テーマを同期させ、早すぎる開始を防ぐ仕組みを構築する。 長谷川センター長は、一瞬躊躇した。 理屈ではわかる。テーマを絞りリソースを集中させれば確かにそのテーマは早く終わるだろう。しかし他のテーマが遅れるのではないか?早く始めれば早く終わるという“常識”が行く手を阻もうとした・・・。 しかし、他に良さそうな手は見つからない。ならば「3ヶ月様子を見て上手くいかなければ元に戻そう。これなら最悪の事態は回避できるであろう」センター長は、期限付きで決断した。

■更なる期間短縮へ

結果は前述の通りである。決断からわずか3ヶ月後、センター長はこの方針を今後も維持継続するため正式に採用した。 この間、付随する様々な改善も適宜行なってきた。ただし、これは終わりではなく始まりである。大きな前進ではあるが、継続的改善の第一歩目を踏み出したにすぎない。 1つの大きな成果が、次の取り組みへの前向きな引き金になる。技術開発センターでは2011年度から、スタッフの多能工化、テーマ開始前の準備段階のプロセス標準化、製造部門との同期化に向けた準備などを改善するための取り組みに着手している。技術開発センターは、着実に改善し続ける組織へと変貌しつつある。

■プロジェクト管理 事例 PDFファイルのダウンロード

プロジェクト管理 事例PDF CCPM事例紹介 昭和電線ケーブルシステム株式会社様のファイルをダウンロードする

Company Information  昭和電線ケーブルシステム株式会社

昭和電線グループの中核となる総合電線メーカーとして、社会基盤を支える電力ケーブル、通信ケーブルからエンジニアリングまでの幅広い製品ラインナップを有する企業である。さらに、エコ電線、電力用接続機器(SICONEX)、超電導線材、熱電変換素子など環境に配慮した製品、低炭素社会に貢献できる製品を積極的に開発し、提供している。

●所在地:東京都港区虎ノ門1丁目1番18号 ●設立:2006年4月1日 
●資本金:10,000百万円(2011年3月31日現在) ●従業員:単独=約700名/連結=約5,800名(2011年3月31日現在)
●U R L:http://www.swcc.co.jp/cs/

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