協力会社と一緒に開発する中・大型規模のシステム開発
進捗確認の際、担当者の「大丈夫です」という報告は、実は「納期が遅れないようにがんばります」という意味だった。納期遅れが直前に発覚することを危惧し、CCPMを導入。遅れの早期発見により納期遵守できただけでなく、リソースの負荷状況を明確にすることでマネジメント強化・リードタイム短縮にも成功した。

■事業内容

オムロンソフトウェア CO2見える化システム『ene-brain』
オムロンソフトウェア 
CO2見える化システム『ene-brain』

オムロンソフトウェアの事業開発室では、親会社であるオムロンの商品や新規商品のシステム開発を行っている。今回、CCPM導入を試みた中嶋氏と伊佐氏は、オムロン環境事業部の工場向け製品“省エネルギー自動分析システム『ene-brain』”を担当していた。
価格競争が激しい今日では、工場向け製品も中国やインドと競争することもある。そのため、設計変更分のコストも削減しようと、ギリギリまで仕様が決定されないことが増えてきた。
さらに、親会社の各部署(営業・コンサル・品質保証・開発)から様々な意見が頻繁にでてくるため、意見をまとめ決定するのが困難になってきているようだった。その結果、オムロンソフトウェアでも「短納期化・低コスト」が厳しく求められるようになってきたのだ。

■導入の背景

2009年最初のプロジェクトで問題は起った。納期の3日前になって「間に合わない」という事実が発覚したのだ。
たった3日では、手の打ちようがない。プロジェクトマネージャーである中嶋氏が現場を放置していたわけではない。日頃から担当者に「大丈夫ですか?間に合いますか?」とヒアリングし、その度に担当者は「大丈夫です。」と答えていたので安心していたのだ。
今思うと「大丈夫です」というのは裏を返せば「がんばります」という意味だったのだと気づく。担当者は「納期までにプロジェクトを完了しなくてはならない」という強い責任感から「間に合わない、問題がある」とは言えなかったようだった。プロジェクトの進捗度をパーセント(%)にしていたことも、遅れが明確にならなかった要因の一つと思われた。

今のままのプロジェクト管理では、納期を完全には守れないと悩んでいたとき、2007年にオムロン主催の「オムロン・ソフトウェア・シンポジウム(通称OSS)」でビーイング社員によるCCPMの講演を聞いたことを思い出した。

■CCPMへの第一印象

オムロンソフトウェアの事業開発室 中嶋氏と伊佐氏
オムロンソフトウェア事業開発室
中嶋氏(左)と伊佐氏(右)

中嶋氏は、さっそくプロジェクトリーダーの伊佐氏にCCPMの概要を説明し、自分たちのプロジェクトに適応できるか検討を始めた。 プロジェクトの期間は、短いときで2~3ヶ月、長いときは1年半ほど。プロジェクトのメンバー数は、少ないときは2~3名だが、大型プロジェクトでは数十名の社員に加えて協力会社にも発注している。

CCPMで気に入った点は、進捗の状況が従来のパーセント管理よりも簡単に確認でき、遅れるかどうかが早い段階で察知できそうという点だった。ほかにも、プロジェクトが多くて1人5プロジェクトほど掛け持ちしていたため、リソースの競合やマルチタスクを把握できる点も気に入った。

一方、CCPMを導入する際に不安だったことは、新しいツールを導入するからには抵抗を示す人が必ず出るだろうということだった。この対策として、プロジェクト開始前に合意を得てから進めることにした。チーム内の合意は予想より簡単に得られた。マネージャーである中嶋氏からトップダウンという形ではなく、リーダーの伊佐氏からも推薦があったことで、チームメンバーも安心できたようだった。
また協力会社の方には、先にCCPMを導入していた親会社オムロンものづくり革新本部の西山氏よりレクチャーを実施し、理解を得ることができた。障害となることを前もって想定し、事前に手を打つことができたので、CCPMの導入は比較的スムーズに進めることができた。

■実プロジェクトへの導入

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チェーン完了予定日までの進捗率(%)

まずは『ene-brain』の3つのシステム開発プロジェクトに、CCPMを適応した。プロジェクトの詳細は、機密情報となるので残念ながらお伝えできないが、進捗グラフ(右下図)と導入効果(下表)をお伝えしたい。

BEFORE AFTER
実績をパーセントで入力するのが億劫になり、最後まで管理しきれなかった。 管理の仕方がシンプルなので毎日進捗を入れることができた。
納期直前まで、遅れは見えなかった。 スタート時点で、納期にどれだけ余裕があるか明確なので、早々に対策が打てた。
納期が守れないプロジェクトがあった。 リードタイムが短くなり、CCPM導入後全てのプロジェクトで納期遵守ができた。 具体的には、2ヶ月間のプロジェクトにおいて、従来のやり方では1週間ほど遅れが見込まれたものを、納期通りに終わらせることができた。
リソースの負荷が、なんとなくしか分からなかった。 だれがクリティカルチェーンになっているのかわかるようになり、リソースの調整ができるようになった。協力会社の担当者の負荷もわかるので、同じように調整をお願いできた。
プロジェクトの状況がわからないため、割り込み作業をやってよいのか悪いのか判断ができなかった。 負荷状況がわかるので、プロジェクトの遅れ具合によって、割り込み作業の対応をやる・やらない、もしくは他メンバーに依頼するなど調整できるようになった。

■今後の展開

現在、事業開発室において『ene-brain』以外の全てのプロジェクトでCCPMによりプロジェクトマネジメントを行って、着実に成果がでてきている。
また、別部署であるエネルギー事業部や決済ソリューション事業部でも、CCPMの導入がはじまっている。

オムロンソフトウェアでは、有志10名ほどで「プロジェクトマネジメントコミュニティー」の活動をはじめた。お互いのプロジェクトの課題・成果を話し合い、積極的な意見交換を行っている。中嶋氏と伊佐氏は、オムロングループ内の事例発表会である「ベストプラクティス」に選ばれるほどの実績を出したい。また、オムロンソフトウェア全社においてCCPMを標準的なプロジェクト管理手法とし、納期遵守率を高めるだけでなく、リードタイム短縮を進めたいそうだ。

■プロジェクト管理 事例 PDFファイルのダウンロード

ソラン株式会社様 プロジェクト管理 事例PDF CCPM事例紹介 オムロンソフトウェア株式会社様のファイルをダウンロードする

Company Information  オムロンソフトウェア株式会社

主な事業内容は、携帯電話や情報家電に最新の文字入力システムや画像認証システム、エンジニアリングサービスを提供。ほかに電子決済ソリューション・REIDソリューションなどを提供している。

●所在地:京都市下京区塩小路通堀川東入 ●設立:1976年4月8日 ●資本金:3億6000万円 
●従業員:387名 (2010年3月) ●U R L:http://www.omronsoft.co.jp/

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