建設業(注文住宅)での取り組み
会社全体の目的達成に向け、社員一人一人が自ら考え行動し、それを取りまとめるリーダーが、次の目的に向けて枠組みを創っていく…。いわゆるPDCAを組織的に展開できるようになっていくことが、当社の考える成長です。石川組という組織を構成する社員一人一人が知恵ある集団として成長していくことこそ企業の継続・発展に繋がっていくと考えています。
■提案型住宅「i-dessin(アイデッサン)」
「i-dessin(アイデッサン)」の「アイ」は、お客様のアイ。「デッサン」はデザイン。お客様自身の想いを、そして生活をデザインしたオンリーワン住宅をお届けしたいという願いからネーミングされています。すなわち“お客様のライフスタイルをかたちにしたもの”という家づくりに対する考え方です。
このようなコンセプトの住宅ですから、住宅設計はもちろん、現場監督をはじめ大工、インテリアデザイン、エクステリアデザインなどそれぞれの分野のプロフェッショナルがプロジェクトチームを組み、お客様のためだけのオンリーワンの住宅をかたちにしていきます。ところが、CCPM導入前は、以下の状態でした。
1.工事内容・工程管理
・個々に管理しているため、担当者しか状況がわかりません。
・作業の標準化が進みません。
・問題が未然に防げず、手遅れになってから表面化します。
2.人材育成(若手)
・ベテラン社員のノウハウが若手社員に伝え切れていません。
3.コミュニケーション
・プロジェクトチームを組むにもかかわらず、チーム内のコミュニケーションが図れていません。
・顧客中心ではなく自分の都合を優先しがちになります。
常務取締役 神原孝吉氏はこのような状況を危惧し解決策(特にコミュニケーション)を模索していました。
そのような時に目をつけたのがCCPMとそれに対応したソフトウエアである『BeingManagement-CCPM』でした。きっかけは、近隣の建設コンサルタントの五星(CASE STUDY 001参照)が2006年から取り組んでおり、テストPJで効果が出ているとの情報を得たことでした。
■コミュニケーションを活性化したい(CCPM導入検討)
五星様を社内に招いてインハウスセミナーを開催
2007年5月に五星とビーイングが高松市で開催した地元建設業者向けのCCPMセミナーに、馬場専務・神原常務・大谷建築課長(後にCCPM導入PJのリーダー)・近藤建築課長の4名が参加し、ソフトウエアの操作も体験しました。その後、7月には五星を社内に招いてインハウスセミナーを開催しました。これらを通じて、CCPMはコミュニケーションを取るのに最適なツールであるとの確信ができたと神原常務は振返ります。
しかし、この時点では納期短縮・人材育成への効果には大きな期待はしていませんでした。
■CCPM導入プロジェクトスタート
2007年9月CCPMの導入を決断、建築課長の大谷孝行氏をリーダーに「まあ、やってみるか」ということで、営業、現場監督全員参加で、その年の12月引渡し予定の新築工事でテストPJがスタートしました。
まず、プロジェクトネットワークの作成に取りかかりました。担当する現場監督が事前に作業を洗い出し、短時間で作成する工夫もおこないました。実際に作成をはじめると、他の現場監督からよりよくするための意見が多数出てきて白熱しました。1日がかりの作業となりましたが、今までになかった雰囲気で良い感触を得たと大谷氏は振返ります。
次に、工程表へ展開し、日程を調整しました。「この時期には営業がお客様と仕様を決めておかないと間に合わない」など、単に現場だけの問題では解決できないものも洗い出され、営業と現場監督の間での意思統一がなされました。その結果、毎週火曜日に営業、現場監督が集まる進捗会議を行うことを決めました。
このテストPJはバッファを1日残して無事完了。お客様には新しい家で、正月を迎えていただくことができました。「もしCCPMを使っていなかったとしても工期には間に合わせたとは思うが、CCPMのおかげで非常にスムーズに進んだような気がする」と担当した現場監督の久森氏は語っています。
■住宅事業部全体へ
進捗会議の様子
進捗会議が軌道にのってくると、営業・他の現場監督から、「全棟を対象としないと意味がないのでは」と言う声があがってきました。
そこで、2008年1月、全新築工事をCCPMの対象にすることを決めた他、毎週火曜日の進捗会議を継続することを確認しました。まさに「継続は力なり」、半年もすると右上のような効果がでてきました。
当初、あまり期待していなかった納期短縮・人材育成面での効果が出ており、現有の陣容で棟数を増やせるチャンスと営業の強化を図っています。さらに、営業→設計→施工と住宅事業部全体への展開の必要性を感じています。
1.工事内容・工程管理
・他の現場監督の進捗状況も把握でき、より細かな現場管理が行われるようになりました。(納期が平均2週間/棟 程度短縮)
・担当外の現場であってもよりよくするための意見が出てくるようになりました。
・問題が起こった時、全員が知恵を出し、解決を図るようになりました。(若手のスキルアップにもつながっています)
2.人材育成(若手)
・工程を詰める方法等、ベテラン社員のノウハウが若手社員に上手く伝わりはじめました。
・現場監督のスキルを把握でき適切なOJTができるようになりました。
3.コミュニケーション
・営業とのコミュニケーションが良くなりお客様の想いがスムーズに現場に繋がるようになりました。
・施工方法、顧客対応、協力業者への要望、会社への要望等意見が出てくるようになりました。
■“going concern”
CCPMを続けていくことで得た多くの経験と知恵は、会社の大きな資産となっています。CCPMを導入することで、会社全体の目的達成に向け、社員一人一人が自ら考え行動し、それを取りまとめるリーダーが次の目標達成に向けて枠組みを創っていきます。いわゆるPDCAを組織的に展開できるようになってきていると実感しています。
さらに今後は、社員一人一人が知恵のある集団として成長していき、企業の継続・発展につなげて行きたいと考えております。
■プロジェクト管理 事例 PDFファイルのダウンロード
CCPM事例紹介 株式会社 石川組様のファイルをダウンロードする
Company Information 株式会社 石川組
創業昭和6年より、事業を守り、続けていくことで多くの経験を積み、その中から多くの知恵を得ました。そこから得た経験や知恵を建築事業部では、“i-dessin(お客様のライフスタイルをかたちにしたもの)”という家づくりに対する考え方で、お客様と一体となって暮らしに馴染むお客様のためだけのオンリーワンの住まいをかたちにしています。
●所在地:香川県観音寺市吉岡町214-7 ●設立:1947年11月 ●資本金:55,000千円
●従業員:53名 ●U R L:http://alata.co.jp/