■事業・市場の状況

中村建設(株) 中村光良氏
中村建設(株) 中村光良氏

土木建築業界は、どこも一緒で厳しいに違いない。」と、中村光良社長は語る。
小泉内閣以降、公共工事の削減が進んでいることは有名だが、実は、民間の設備投資も冷え込んでおり、公共も民間も厳しい状況である。建設業は昔ほどの花形産業ではなくなりつつあるが、社会には必要不可欠な産業であることにかわりはない。そこで、中村建設は、従来のゼロから道路・橋・住宅などを作るという方針から、「リフォーム」・「リニューアル」・「耐震」などの新しい分野にも積極的に進出して業務の拡大を始めている。このような業務の拡大がうまくいっているのは、 中村建設には、土木部・建築部の垣根を越え、全社が一丸となって動ける大きな強みがあるからだ。

■導入の背景

2007年当時、中村建設の社内は、業界の不況の影響をうけ、よどんでいた。社員から熱意が感じられず、ただ仕事をこなしているという状態だった。中村光良社長は「現状が良くないということはわかっていても、何をしたら良いのかも分からなかった。私一人が何かをしても無理。従業員全員で何かに取り組まなければ、現状を打破できないと思った。」と当時を振り返る。
そんな時、所属し幹事をしていた全国青年会議で、「三方良しの公共事業改革フォーラム(2007年5月8日開催)」を主催した。そこで、中村光良社長は効果的な工程管理手法CCPMと出会った。

■導入スタート

過去新しい手法に取り組んで非常に苦労した経験がある。それでもCCPM導入をすすめたのは、「取り組みやすそう」という第一印象からだった。中村光良社長自身、技術経験がなくてもCCPMはすぐに理解することができたそうだ。

会社の閉塞感を壊すため、CCPMという新手法を取り入れれば、何か違ったものが見えるのではないか?」

中村光良社長は、じっくり時間をかけて検証するよりも、良いと思ったものを素早く導入するほうが大切だと考えていた。たとえうまくいかなかったとしても、ダメならやめればよいと思い切った。従業員から、CCPM導入に対して反対の言葉はなかった。ただ残念ながら「社長がいうならやります」というレベルで、決して積極的にやりたいという方向性ではなかった。

導入のまず第一歩として、1日かけてCCPMセミナーを開催した。この日は平日であったが、一切の業務をストップして受講させることにした。さらに、受講中はトイレ以外は会議室から出られない。電話もシャットアウトという徹底振りだった。ここまでした理由は、「鬼気迫るほど厳しい現状を打破することが必要だ」ということを従業員みんなに理解してほしかったからだそうだ。セミナー後すぐに、建築部・土木部それぞれ1工事ずつCCPMを適用した。

■建築部でのCCPM導入工事

全体会議の様子
全体会議の様子

建築部で最初にCCPMを使ったのは「會津生駒保育園新築工事」だった。工期は2007年5月~12月。以前は天候不順の影響をうけやすい工程は余裕をもたせて組んでいたが、CCPMではその余裕をごっそり取って、プロジェクトバッファと設定された。ギリギリの工程で組まれた工事をスタートしたが、いきなり問題が発生し、着工が2ヶ月も遅れてしまった。
今までは、工事が遅れたらまず、現場代理人と担当者が話し合って対応をしていた。それでも解決しなければ、はじめて上司に相談するというやり方だった。CCPMでは、遅れた日数に応じて進捗グラフにて赤・黄・緑のアラームが一目でわかる。今回のアラームは「赤」だったので、遅れはじめてすぐであっても、会社全体で解決策を練ることができた。建築部だけでなく、土木部はもちろん、営業部や総務部からもいろいろな意見をもらうことができた。その結果、当初の2ヶ月の遅れを、かなり縮めることができた。

■土木部でのCCPM導入工事

情報の社内公開「見える化」
情報の社内公開「見える化」

土木部で最初にCCPMを使ったのは「奈良県三条菅原線地方道路交付金事業」だった。公共工事では、施工者からの質問に発注者が1日以内に返答するという「ワンデーレスポンス」の活動が進められている。中村建設では、いち早くワンデーレスポンスとCCPMを組み合わせて取り入れることで、発注者からの回答が早くなり工事を順調に進めることができた。
さらに中村建設では、元請け会社として下請け会社に対してもワンデーレスポンスを実行しはじめている。下請け会社も日程に余裕をもって工程を組んでいたので、ワンデーレスポンスとCCPMを理解しながら進めることで、お互いに利益を出しながらコストダウンすることができる。安い金額を武器に受注件数を増やそうという戦略だ。

■CCPMの成果と今後

CCPMを導入することで、当初の目的だった、閉塞感の打破に成功した会社の風通しがよくなり、各部署で蓄積されたノウハウを共有化することができた。相互の知恵を出すことで、厳しい工期に間に合い、お客様や設計事務所が喜ぶことで、信頼関係が強くなってきている。コミュニケーションの場ができたことで、人材育成が進んだことも大きな成果だ。
導入してから3年目、現在は少しマンネリ化してきているので、今後は中身を充実させていきたいそうだ。例えば、社内の改革プロジェクトなど、現場以外の間接部門でもCCPMの考え方を取り入れていきたいそうだ。

■プロジェクト管理 事例 PDFファイルのダウンロード

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Company Information  中村建設株式会社

建設業種類は、建築・土木・とび土木・舗装・水道施設・しゅんせつなどで、幅広く都市開発を支えている。

●所在地:奈良市三条大路1丁目1番48号 ●設立:1949年 ●資本金:4,000万円 
●従業員:35名 ●U R L:http://www.8-nakamura.co.jp/

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