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遅れだけが伝わる5つの要因
プロジェクト業務は、
遅れは伝わるが、進みは伝わらない
という性質をもっています。その主な原因として、次の5つの要因が考えられます。
要因1:パーキンソンの法則
これは「
仕事は計画しただけかかる
」という法則です。つまり、認められた工期(時間)と予算(人、物、金)は、たとえ余裕があっても、与えられただけすべて使い尽くされるというものです。
こういった行動は、次の伝統的な観点と評価尺度がその根底にあります。
プロジェクトの工程を守る方法は、唯一すべての作業の予定を守ることだ。だから各作業はそれぞれ計画通り行わねばならない。つまり、作業それぞれに開始と終了の期日を守ることを目標として管理する。
忙しくしている者の方が、稼働率が高いし生産性も高い。つまり、空いた時間は無い方が良い。(
効率志向の評価尺度の存在
)
開始にしろ終了にしろ、その期日が与えられれば、それで管理される
のだから、それに合わせようとするのが道理です。つまり、「
予定まで続ける
」のです。
忙しくしている方が評価が高い
となれば、尚更のことです。
要因2:早期完了の未報告
ある人が予定より早く作業を終えたとしましょう。
そこで早期完了を報告すると、次に同じような作業を引き受けた場合、その条件を厳しくされる可能性があります。次回も同じようにできるとは限りません。予定を守れず評価を落とすかもしれません。
つまり、早期完了を報告しても、本人には何のメリットもないのです。それならば、報告せずに黙っていた方が得だと考えるのが自然です。そして、早期完了は報告されることなく、空いた時間は以下のような行動で埋められてしまいます。
1
予定日以降に割り当てられている作業を一部着手する
2
予定日まで今の作業を丁寧に仕上げる
3
工程には無い作業を作ってそれをやる
早期完了が報告されないとなると、後続の仕事は、少なくとも予定より早く開始できないことになります。
つまり、
進みはまず伝わらない
ということです。
要因3:学生症候群
この症状は、学生の夏休みの宿題と同じで、「
与えられた期限間近まで、仕事を本気には始めない
」という、人間の傾向をいうものです。いわゆる「一夜漬け」です。
本人は、リスク分も含めて期間を十分大きく見積もっているつもりで、本気でやれば半分かそれ以下で期日までにできそうだと考えているのです。そうして、期限が近づくまでは本気で手を付けずにおいて、一夜漬けとなるわけですが、せっかく見積もったリスク分の余裕はもう消えています。五分五分の日数しか残っていません。ところが、そういうときに限って、それも終盤になって、予期しない突発の事態(TOCでは、これを「
マーフィー
」と呼びます)が起きます。
このようにして、最初見積もった安全余裕は消えるどころか、むしろ、それを通り越して遅れてしまいます。
要因4:仕事の掛け持ち(マルチタスキング)
仕事の掛け持ち、いわゆる「マルチタスキング」が起こる主な要因としては、以下のものが考えられます。
空きがあると評価を下げられる。
すべてが最優先なので、複数の仕事が同時に始められる。
複数の仕事の間で共有されるリソースの競合を十分考慮に入れていない。
例えば、AとBという2つのタスクを順に行うのと、同時に行う場合を比較してみましょう。それぞれ期間は3日だとします。そして、1日ずつ仕事を細切れにして、同時に2つのタスクを行うとしましょう。右の図で、上が順に行う場合で、下が同時に行う場合です。
図のように、同時に2つのタスクを行う場合は、タスクの期間(リードタイム)が、3日から5日に長くなってしまいます。タスクAが終わってからでないと次のタスクが始められない場合、次のタスクの開始は遅れてしまいます。
さらに、タスクの間を行ったり来たりすることで、段取り変え(「セットアップ」とも呼びます)の時間が必要になります。人間はそう簡単に頭を切り替えられません。どうしても時間のロスが出てしまいます。下の図では、段取り変えの時間を半日と見込んでみました。
今度は、どちらのタスクの期間も、当初の3日から7日に倍以上になってしまいました。
このように、マルチタスクをやると、リードタイムが見積もりよりも長くなり、ほぼ確実に工期を守れなくなります。
要因5:工程のネットワーク構造
下の図のように、6つのタスクからなる簡単なプロジェクトを考えてみましょう。このプロジェクトでは、最後の斜線のタスクは、それに先行する5つのタスクがすべて完了しないと開始できないネットワーク構造になっています。
この例のように、すべてのタスクが早く終わらない限り、「
進みは伝わらず、遅れだけが伝わる
」ということになります。
プロジェクトは、こういった複数のタスクが合流するところを持つネットワーク構造になっています。しかも、そういった箇所は複数あるのが一般的です。つまり、工程がネットワーク構造になっていること、それ自身が遅れを増長するということです。
以上のことから、プロジェクト自体が元々遅れるような構造になっていて、さらに人間の行動特性がそれを加速させているということがわかります。これらの要因を解消し、「
進みも遅れも伝わる仕組み
」にしようとする考え方が「
CCPM
」です。
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